月の明るい夜のこと
かいぶつは
わたしの顔を 月光にてらして
ながいこと見つめていた

おさない頃の病がもとで
わたしの左目は見えず
みにくい赤あざが大きく残っている
おっかあも おっとうも
わたしをばけものと忌み嫌い
妹は わたしのせいで
嫁のもらいてがないと 毎日ののしった

けれども かいぶつは
おじけるそぶりも無く
わたしの頬に触れた

ひととかわりのない あたたかな指先だった




かいぶつは
わたしの体にのこる病のあとに
やさしく やさしく触れてくれた




それから また しばらくたったころ
突然 はげしい物音とともに
大きなつつみがふってきた
なまなましい血のあとののこる
いびつにふくらんだ こもの包みからは
しらがの髪がはみ出していた


それは
ゆいいつ わたしのめんどうを
みてくれていた
おばあの死体だった
+マエ+    + モドル   +ツギ+


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